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> 小説

美しい地球の未来 

今から20年後、エネルギー危機を迎えて打ち出された政策は恋の相手をコンピューターで決めるというものだった。環境問題、エネルギー問題の本質にせまる問題作!
(2/11)加筆修正

 西暦2029年。石油が枯渇し、原油国は自国の消費も賄えない状況になっていた。資源を持たない日本は深刻な危機を迎える。環境技術先進国の日本は節約をやりつくした感があり、打つ手がない。政府は官民問わず叡智を集めるべく遅まきながらの対策会議を開いた。

「風力発電、太陽電池などできることは全てやってきたが未だ見落としていることがあるかも知れません。人類の存亡を賭けてアイデアを出していただきたい。美しい未来の地球のために」
 首相の発言からしばらくは沈黙が続いた。やがて、経産相が溜まっていた怒りをぶちまけるように発言した。連日連夜、産業界からの苦情、苦言の矢面に立ち憔悴しきった声はどす黒い。
「だいたい環境問題に注ぎ込んだ毎年一兆円の金はどうなったんだ? ドブに捨てたようなもんだろ。温暖化うんぬんなんてどうでもよかったんだ。その金で石油を買っておくほうがよっぽど役に立ってたろうよ」
 効果のわからないCO2削減などということに金とエネルギーを注いでエネルギー危機に対処しなかったのだから言ってることは正しいが、言うべき時と場所は正しくない。

「ビジネスチャンスだとか、かんとか煽っていたのは経産省だろ。文句を言うな! 」
 環境相がゆでだこもかくありという面相で応戦した。歴代環境大臣は内閣内での発言権などなかった。環境問題考えてますよ。やってますよポーズのための客寄せパンダ的役割だったから仕方がなかった。そこへ経産相から怒りを向けられてもたまったものではないだろう。

「建設的意見の場にしたまえ。政治家の発言は既に出尽くしてるから。この場は識者の方達からアイデアを出していただきましょう」
 首相の言葉に、集められた識者達は皆俯くばかり。

 しばらくして自信無げな細い声があがった。
「あのー、生殖のエネルギーを節約してですね……」
 発言は生物学者からだった。
「続きをどうぞ」
 首相は藁をも掴む思いで生物学者に発言をうながす。

「女と男は生殖活動に持てる資源のほとんどを費やしています。これを節約してはどうでしょうか」
「そんな事したら政府が持たないよ、いや議員先生の下半身が持たないワッハッハ」
 内閣官房長官の高笑いが場内に響く。
「それでは、恋愛にかかるエネルギーを節約しませんか? 」
 生物学者がぼそぼそとしゃべる。
「若い人たちは恋の相手を見つけようと合コンやら婚活をしていますがエネルギーの無駄です。コンピューターで最も適応度の高い組み合わせを計算すればいいのです。それを利用すれば若いエネルギーが節約できます」

 物理学者からエネルギーの定義がどうたらとか異論があったが他に名案も出なかったので生物学者のアイデアが法案にされ国会審議を通り実行された。

 導入前は批判が多かったが歓迎する声もある。
「恋人ができるんだよ俺に、生きてて良かった」テレビの街頭インタビューは若者の声を伝えていた。巷のモテない男達は浮き浮きしてシステムの導入を待っているようだ。

 ところが、施策が実行されるとモテなかった男達からの苦情が殺到する。役所へ怒鳴り込む者も。
「通知された相手に会おうとしたら門前払いだ。これじゃ政府公認出会い系じゃねーか」
 出会えない、出会い系利用者達の怒りは収まりそうにない。

 まもなく政府調査が行われ理由がわかった。半数以上の女達はモテ男達のセカンドになっていたのだ。

 セカンドしている彼女達は口を揃えて言う。
「美系の子孫を残さなきゃ美しい地球にならないでしょ」
 確かに地球への愛に満ちた言葉である。

 だが、産んだ子が苦労するのを憚る心理が働いたのだろうか、子孫を残すと言うものの実際には子供を作ろうとしない。生まれてくる子供の人口はピタリ止まった。それから十年、日本の人口は減り続け半分程で横這い状態に落ち着く。


 環境問題はつまるところ人口問題だった。日本の土地に住める相応の人口になれば解決する問題ということ。石油がなくても食べ物があれば生きていける。日本人のほとんどが農作業に携わるようになり、顔や姿は20世紀前に戻る。理由は簡単、女達が農作業に適したゴツイ男を好むようになったからに他ならない。



 親が農作業してるそばで子供達が遊ぶのが当たり前の風景になった。小学生ふたりが棒切れを持って地面に絵や文字を描いている。小さい子が上の子に聞いている。

「おねえちゃん、男(おとこ)って漢字教えてよ」
「田んぼの力(ちから)って書くのよ」
 
目次>>>
  • 2009.02.11 22:14 
  • Comment : (6) |
  • Trackback : (0) |
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comment

こんにちは。
面白い発想ですね。
自然と人間の共存するためのバランス。
  • 2009.05.09 07:43
  • URL |
  • ミショウ |
  • edit |

ミショウ さん

ありがとうございます。

> こんにちは。
> 面白い発想ですね。
> 自然と人間の共存するためのバランス。

読んでいただけてコメントまでしていただいて恐縮です。
時間のスケールが長いので主人公も設定できなくて読むにも感情移入できないので読みにくかったと思うのですが。地球に感情移入していただけたらいいんですが(笑)。

人間の言うかってな美醜は地球にとってどうでもいいことだと考えてます(笑)。

発想、確かに凄いですねー。
スケールの大きな話なのに、短い文章で完結させているのもお見事です^^
  • 2009.05.27 00:27
  • URL |
  • 神田夏美 |
  • edit |

神田夏美 さん

> 発想、確かに凄いですねー。
> スケールの大きな話なのに、短い文章で完結させているのもお見事です^^

ありがとうございます。この作品は人類の破滅的クラッシュをいかに防ぐかを考えていて生まれたものです。私としては凄く真剣でした。

産まれて来る子供には未来税という課税をかけるというような無謀ともいえるアイデアの中からでてきたものなんですが、物語りとしての面白みに欠けていますので、再挑戦しようと思ってます。
  • 2009.05.27 19:21
  • URL |
  • ペカリ |
  • edit |

エネルギー問題って、深刻ですよね><
毎日ガソリン垂れ流して、バイク乗ってるわたしが言うのもなんだけど^^;
ガソリンがなくなったら、自転車にしてでも、KATANAに乗るかも^^;
コンピュータで勝手に相手決められるのって、嫌ですね^^;
亡命してでも拒否しますね^^
恋愛のエネルギーを節約するより、この会議のエネルギーを節約したほうが……
  • 2009.06.11 21:29
  • URL |
  • 月 黎風 |
  • edit |

月 黎風 さん

> エネルギー問題って、深刻ですよね><

時代が問題を感知した結果が少子化傾向なのではないかと考えてます。

> 毎日ガソリン垂れ流して、バイク乗ってるわたしが言うのもなんだけど^^;
> ガソリンがなくなったら、自転車にしてでも、KATANAに乗るかも^^;

あはっ、戦闘服着て自転車に乗ったら全身汗まみれで大変でしょうね。

> コンピュータで勝手に相手決められるのって、嫌ですね^^;
> 亡命してでも拒否しますね^^

一応どんなのが送られてくるか結果を見てから亡命しても遅くないかと・・・

> 恋愛のエネルギーを節約するより、この会議のエネルギーを節約したほうが……

言えてますね。会議の出席者は老人主体ですから、延命治療策しかアイデアは出ず、
若者に不利なことでも通ってしまうってのが今の議会(ry

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